クロ151の保存車体を取り出してみたら、さらに時を遡るものがあったことを思い出しました。
クハ26とでもいうべきか、ビジネス特急「こだま」の先頭車。 1958年頃だったと思います。 材質は朴なのか、薄板に窓抜きされたキット、OゲージとHOゲージの2種類が売られていました。 セメダインで組み立て、ヤスリ掛けして整え、自分で色を塗るものでした。
ここでご紹介するのは、多分OER3001氏が「鉄道模型を作る」と言う行為に初めて取り組んだ、小学2年生の時の作品だったかと思います。 作品とは言え、自分でできたのは薄板を接着したところまでだったようです。 父が大幅に手伝ってくれ、ヤスリがけ、色塗りは父の手によるものです。

キットは側板に窓穴が開けられているのみで、あとは所定寸法にカットされた木片を接着するようなもの。 従って、扉や運転室などは描いて表現しなければなりません。 父が細い筆で描いてくれた「こだま」愛称板が素晴らしいです。

運転室の窓、JNRのマークなど、小学2年生にはとてもとても無理ですが、父の腕には子どもながらに感心していたことを思い出します。

後方から見た姿、運転台後方小窓、乗務員扉の描き方が凄いです。 側窓の断面には銀色が塗られています。

加えてクーラーの表現までも。

これらは「マスキング」など全くない、フリーハンドで描いていました。 連結面に描かれた貫通路の形状は、どこか小田急SE車のような。

塗り分けも、雨樋部分の細い赤も、前照灯部分の細い3本線も、全て細い筆の作業。 色はエスクマ印(島田塗料)のマメラッカーでした。 ブリキを曲げただけの玩具のようなカプラーが付いています。

当時は祖父が経営する事業を手伝っていたのか、それが上手く回らなくなり会社員に転職した頃なのか、子ども時代の記憶では不確かですが、手先が器用で尊敬できる父でした。
父との共同作業の作品、いや遺品かもしれませんが、大事な大事な60年前の思い出。 どうしても処分することはできない宝物です。
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