我家には“捨てられないもの”が少なくありませんが、中でもOER3001氏の鉄道模型史に関連するものは特別です。
過去には初めて作ったペーパー車体の0番小田急とか、プラキットのクロ151も紹介していましたが、今回は1981(昭和56)年に完成させたペーパー自作の小田急3100形NSE誕生秘話ということで。
ここに至る最初はこれでした。最初から完成させる気は無く、あくまで先頭部の試作第1号だったので、塗装なんてフリーハンドでペタペタ。
動力も斯様な柔なギアボックスを用い、棒形モーターでの駆動を試みていました。
展望室天井となる屋根板には、「試作No.1 65.3.30」とあるので、1965(昭和40)年の作でした。先頭部だけの試作の予定が、その後方も屋根板を継ぎ足して作っています。
この後、様々な先頭部の成形が試みられています。第2号がこれ。パテで成形した後に電照式ヘッドマークと前照灯ケーシング部を抜く方法だったようです。
第3号も同様ながら、丸める前の展開状態での切り込み位置を変えていました。センターピラーを立てて検討していたようです。
第4号ではパテ塗り、成形前なので、切り込みの様子が良く判ります。電照式ヘッドマークや前照灯ケーシング部は最初から抜いています。
第5号は、第4号とほぼ同じようですが、第3号で試みたセンターピラーと共に、バルサ材成形の屋根を乗せています。
第6号で、漸くイメージが掴めたようでした。
第2号(左端)から第6号まで、モックアップを並べてみました。第6号には6月12日と記載してあることから、この年は3ヶ月もこの製作法を検討していたようです。
そして本製作となったこれが完成したのが1981(昭和56)年ですから、途中放置も経て、15年越しでの完成と言うことになります。
最終的に、前照灯ケーシングはペーパーを諦め真鍮板に変更、併せてスカートも真鍮製となりました。
センターピラー含むパノラマウインドウのサッシは、ヘッドマークの縁取りと共に洋白線となりました。
これらのモックアップ製作を経なければ完成させられなかったNSE、完成模型と共に、試作モックアップも大切に残したいのです。
モックアップの裏に記載された日付も、その歴史を伝えてくれています。
近年の完成品は外観は良いし、誰でもそれなりの対価を払えば手にできますが、こうして悩みながらやっと完成させた自作品の方が、遙かに価値ある一品だと思うのは自己満足ですね。
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